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技術というものは、原則として没個性的である。だれでもが、順序をふんで練習してゆけば、かならず一定の水準に到達できる、という性質をもっている。それに対して、研究だとか勉強とかの精神活動は、しばしばもっとも個性的・個人的ないとなみであって、普遍性がなく、公開不可能なものである、というかんがえかたがあるのである。それは、個性的な個人の精神の、奥ぶかい秘密の聖域でいとなまれる作業であって、他人にみせるべきものではない……。
しかし、いろいろとしらべてみると、みんなひじょうに個性的とおもっているけれど、精神の奥の院でおこなわれている儀式は、あんがいおなじようなものがおおいのである。おなじようなくふうをして、おなじような失敗をしている。それなら、おもいきって、そういう話題を公開の場にひっぱりだして、おたがいに情報を交換するようにすれば、進歩もいちじるしいであろう。そういうようにしようではないか、というのが、このような本をかくことの目的なのである。(梅棹忠夫『知的生産の技術』)
moeの本質は以下のように表現することができる。
- 頭の中のアイデア・身の回りの情報をテキストファイルにする
- それをファイラで整理し、活用する
梅棹忠夫『知的生産の技術』以来、多くの者が梅棹の思想に共感し、知的生産の技術を追い求めた。moeも、ここから生まれた技術の一つである。知的生産の技術の最適解は、きっとmoeの延長線上にあるだろうと、私は確信している。