ひらめきを集積するということ

人間は、常に複数の課題に取り組んでいる。それは、友人や仕事に関するような恒常的なものであったり、部屋の片付けをどうするか、最近携帯の調子が悪い、食材を帰りにどのスーパーで買うかというような、一時的なものであったりする。そのうちの一つに意識を集中すれば、それへの対処法、方針、総括、感想といったものが、無秩序に、断片的にひらめくことになる。だが、すぐにまた別の課題に思いが移ることで、ひらめきは断片のまま忘却されてしまう。そうして、何度も同じひらめきを繰り返し、忘却してというように、同じところをくるくると回ることになるのである。
そこで、思いついたことをメモにする。ひらめきの断片を集積することで、課題は次第に輪郭をはっきりさせ、それにどう対処すればいいか、そのための手続きは具体的にどうなるのかが明確になるわけだ。そうすれば、それまで断片的な思いつきのみで課題に取り組んでいた時よりも、適切な行為ができるようになるだろう。
我々は現実において様々な課題に出会い、そのときどきでなんらかの対処をする。その実際の流れとは別に、アイデアを一旦、メモ群という別の場所に保存し、寝かせたあとに、それを再び現実に反映させるのだ。

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