バッファー理論とファイラ

バッファー理論に基づいて、死蔵しないシステムを構築するには、メモファイルの柔軟な移動が必要になる。それを実現するには、任意の場所で、ファイルあるいはフォルダを、作成/削除/移動/リネームできなければならない。メモのデータベースを築く際は不要であった、ファイラと同等の機能が要求されるわけだ。こうして、PCを用いたメモシステムは、さらに条件を限定されることになる。それは、「連動ビューとタイトル表示を可能にするもの」であり、かつ「ファイラをベースにしたもの」でなければならない。そして、この条件のもとに私が築いたシステムが、moeである。
ここに至るには、「知的生産の技術」と「ファイラ」という、あまり関連性のない2つの知識を、共にある程度のレベルで兼ね備えていなければならない。これが、「PCを知的生産に利用する」という、誰でもすぐに思いつきそうなアイデアが、なかなか実現されてこなかった理由ではないかと私は思う。私は、たまたまファイラのカスタマイズを趣味としていて、かつPPxという、おそらくはタイトル表示を唯一できるファイラを愛用していたから、moeを実現できたのである。

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