自己原因

自己原因とは、その本質が存在を含むもの、あるいはその本性が存在するとしか考えられえないもの、と解する。(定義一)

実体概念について把握し、かつ因果律を公理として認めると出てくるのが、自己原因(causa sui)という概念だ。これもデカルトから引き継いだものである。
因果律が公理である以上、それはすべてのものに適用される。そしてそのすべてのものには、実体も含まれるわけである。だが、実体が他のものを原因とすることはありえない。従ってそれは、自己自身を原因とすることになるわけだ。
実体を認め、かつ因果律を公理として認めるならば、実体が自己原因であることは必然的に導かれることである。ただ、実体概念について曖昧かつ、因果律が公理であることを確信していない者が当時いたらしく、「神を因果律に従うものとして捉えることは、神に相応しくないのではないか」という批判が『省察』の第一駁論と第四駁論でなされている。

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