様態の区分
有限様態と無限様態
スピノザは、様態を以下の二つに区分する。
- 有限様態
- 無限様態
我々が認識するもののなかには、個々の人間、個々の椅子といった有限なものと、自然法則のような無限なものとがある。スピノザは、前者を有限様態、後者を無限様態と呼んでいる、という程度の理解でとりあえずは問題ない。定義からは、神以外のすべてのものが様態となる。様態という区分は、我々の認識するものの説明においては、あまり意味を持たないのである。
直接無限様態と間接無限様態
スピノザは、無限様態をさらに、
- 直接無限様態
- 間接無限様態
の二つに区分する。スピノザは、前者の例として「神の観念」「運動と静止」を。後者の例として「無限の仕方で変化しながらも常に同一に止まる全宇宙の姿」をあげている1。
両者の違いは、属性を見れば直観的にわかるか、否かの違いである。例えば、「運動と静止」の公理は、延長属性を見れば直接認めることができる。だが、「無限の仕方で変化しながらも常に同一に止まる全宇宙の姿」は、延長属性を見ればすぐに認識できるものではなく、そこに至るまでに段階を踏む必要があるというわけだ。実際、スピノザは第二部定理一三以降の補助定理において、「無限の仕方で変化しながらも常に同一に止まる全宇宙の姿」を「運動と静止」の公理から導いている。
この両者の違いは、特に重要なものではない。スピノザが両者を区分していた、ということさえ知っておけば、それで十分である。
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書簡64 ↩