はじめに
第一部では、すべてのものが必然的な仕方で生じることが示された。自然には、偶然的で説明がつかないものは存在しないのである。これを受けて第二部以降では、人間精神、感情、国家といった倫理学に関係する事柄が、幾何学的な方法で分析されることになる1。
-
今や私は神、すなわち永遠・無限な実有、の本質から必然的に生起しなければならぬことどもの説明に移る。しかしそのすべてについてではない。なぜなら、第一部定理一六で証明したように、神の本質からは無限に多くのものが無限に多くの仕方で生起しなければならぬからである。ここではただ、人間精神とその最高の幸福との認識へ我々をいわば手を執って導きうるものだけにとどめる。(序言) ↩