はじめに
第三部では、感情の分析がなされる。通常、感情は不合理で説明のつかないものだとされがちだが1、スピノザの理論を使えば簡単に説明することができる。
ここでの議論は、第二部で行った観念の分析と、第三部で新たになされるコナトゥスの考察がベースになっている。まずは、コナトゥスについて考察しよう。
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なぜなら今私は前に戻って、人間の感情および行動を理解するよりもむしろ呪詛し・嘲笑しようとする人々へ立ち向かおうと思うのであるから。これらの人々にとっては、私が人間の欠陥や愚行を幾何学的方法で取り扱おうと企てること、また理性に反した空虚な、不条理な、厭いとうべきものとして彼らの罵る事柄を厳密な推論で証明しようと欲することは、疑いもなく奇異に思えるであろう。(序言) ↩